外国企業がAmazon日本で販売 – 消費税の納税義務と申告手続きを徹底解説

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フルフィルメントサービスとは

「フルフィルメントサービス」とは、商品の保管・管理、注文処理、梱包、発送、返品対応といった、ECサイト運営における一連の業務を代行するサービスのことです。Amazonが提供する「フルフィルメント by Amazon(FBA)」が代表的な例です。

外国企業が日本のAmazonで商品売上時の消費税

  1. 消費税法第4条第1項
    「国内において事業者が行った資産の譲渡等には、この法律により、消費税を課する。」
  2. 消費税法第4条第3項第3号
    資産の譲渡等が国内において行われたかどうかの判定について、「資産の譲渡又は貸付けである場合には、当該譲渡又は貸付けが行われる時において当該資産が所在していた場所」
  3. 消費税法基本通達5-7-1
    「資産の譲渡の場合における資産の所在場所の判定は、原則として、譲渡の時における現実の所在場所による」

商品(資産)の譲渡の場合、その取引が行われた時点での商品の物理的な所在地が判断基準となります。

Amazon FBAの場合、商品は日本国内の倉庫に保管されており、そこから日本の消費者に出荷されます。

したがって、譲渡時点での商品の所在地は日本国内となり、国内取引と判定されます。

→日本のAmazonで、日本の消費者に対して、商品を販売する事業者は、消費税の納税義務を負います。基準期間の売上高が、1000万円に満たないなどの免税規定に該当する場合は除きます。

輸入した商品を日本のAmazonで販売する際には、国内取引として消費税が課税されます。

課税対象: 日本国内での商品の販売
納税義務者: 外国企業(日本国内で事業を行っている者として)
納付時期: 課税期間(通常は事業年度)終了後

外国企業によるAmazon日本販売 – 商品輸入時の消費税

外国企業が自国から商品を日本に輸入する際、輸入時に消費税(輸入消費税)が課税されます。
関税法の改正により、日本国内に商品を輸入する、商品の所有権を有する外国企業自体が、消費税の輸入申告の納税義務者となりました。

課税対象: 輸入される商品(課税貨物)

納税義務者: 原則として、輸入者(この場合はその外国企業)

納付時期: 税関での輸入申告時

計算方法:

  • 課税標準:輸入貨物の課税価格(CIF価格に加えて関税額)
  • 税率:消費税率(現在は10%)

納税方法: 税関に納付

段階 課税対象 納税タイミング 必要書類
輸入時 CIF価格+関税 輸入時即時 輸入申告書
インボイス
販売時 販売価格 確定申告時 適格請求書
売上台帳
確定申告時 売上税額-仕入税額 課税期間終了後2ヶ月以内 確定申告書
インボイス

消費税の計算(原則法の場合)

仕入税額控除の重要性

仕入税額控除があることで、二重課税を防ぐことができます。例えば、100万円で商品を輸入し、輸入消費税が10万円かかったとします。その後、150万円で商品を販売した場合、売上にかかる消費税は15万円です。この場合、

  • 納付すべき消費税額 = 15万円(売上にかかる消費税) – 10万円(仕入にかかる消費税、つまり輸入消費税) = 5万円

となります。もし仕入税額控除がなければ、15万円全額を納付する必要があり、輸入時と販売時の両方で消費税が課税されることになってしまいます。

外国企業が日本で消費税申告・納税を行うための手続き

外国企業が日本で消費税の申告・納税を行うためには、以下の手続きが必要となる場合があります。

  • 納税管理人等の選任: 日本に拠点を持たない外国企業は、納税に関する手続きを代行する納税管理人を選任する必要があります。通常は、税理士が納税管理人を兼ねることが多いです。また、税関申告を行うために、税関事務管理人を選任する必要もあります。
  • インボイス制度: 2023年10月1日から開始されたインボイス制度は、仕入税額控除の適用を受けるために、適格請求書(インボイス)の保存が必要となる制度です。外国企業が発行するインボイスが適格請求書として認められるためには、一定の要件を満たす必要があります。
  • 消費税申告:消費税申告は課税期間(通常事業年度)終了後2月以内に行います。申告書を作成し、税務署に提出し、納付すべき消費税額を納付します。納税管理人を選任した場合には、納税管理人がこれらの手続きを代行します。

まとめ

外国企業が自国から商品を輸入し、日本のAmazonで販売する場合、輸入時と国内販売時の両方でそれぞれ、輸入消費税納税義務及び消費税納税義務が発生します。まず、輸入時には輸入消費税が課税されます。その後、日本国内販売時には売り上げについて消費税が発生し、消費税申告時に売上にかかる消費税から輸入時に支払った消費税を控除することができます。
これらの手続きは複雑な場合があるため、必要に応じて税理士などの専門家に相談することをお勧めします。

一連の流れ

1. 事前準備
必要な手続き
  • 納税管理人の選任(税理士等)
  • 税関事務管理人の選任
  • インボイス登録(適格請求書発行事業者の登録)
2. 輸入プロセス
輸入時の消費税
  • 課税対象:輸入貨物(CIF価格+関税)
  • 納税義務者:輸入者(外国企業)
  • 税率:10%
  • 納付時期:輸入時(税関)
3. Amazon FBA販売プロセス
国内販売時の消費税
  • 課税対象:国内販売額
  • 納税義務者:販売者(外国企業)
  • 税率:10%
  • 納付時期:確定申告時

重要ポイント:

  • 仕入税額控除により、輸入時に支払った消費税を控除できます
  • 確定申告は課税期間終了後2ヶ月以内に行う必要があります
  • 納税管理人を通じて手続きを行うことができます
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この記事を書いた人

税理士 加来耕司です。