消費税の輸出免税とは?
今回は、問い合わせの多い、消費税の輸出免税の効果について、考えてみたいと思います。ビジネスへの応用事例などは、別途、投稿したいと考えております。消費税については、原則法を選択しているものとします。
消費税の輸出免税ってご存知ですか?
輸出する場合には、消費税がかからないということですか?
そうです。ただ、かからないというのは、正確には正しくないです。本来は、かかる対象なのだけれど、免除するということです。
免除ですか?
そうです。消費税の消費という意味は、日本国内で消費者が消費するという意味です。海外に輸出する資産やサービスは、日本国内では、消費されないので、それは免除する(すなわち、消費税をかけない)ということです。
免除するということに何か意味があるのですか?
そうです。それには、消費税の基本的な仕組みの理解が必要です。
消費税の計算の基本的な仕組み
消費税の計算の基本的な仕組みについて、説明しましょう。この場合、皆様が、店で物を買うというような消費者の立場ではなく、物を仕入れて、売るという、事業者の立場で考える必要があります。
お店の立場で、考えるということですね。
消費税の計算は、お客様から預かった消費税から、自分が他の事業者に支払った消費税を引いて(控除するといいます)、その差額を国に消費税として納付するということになります。実際には、このように単純ではないですが、理解のため、単純化して考えてみます。
あるお店が、90円の商品Aを消費税9円込みで、99円で仕入れたとします。その商品Aを消費者に110円(うち、10円が消費税)で売ったとします。この場合、消費税だけを考えると、商品Aを仕入れるとき、9円の消費税を払い、商品Aを消費者に売る際に、10円の消費税を預かっています。この場合に、このお店は、10円の消費税を預かり、9円の消費税を支払っています。10円-9円=1円の消費税を預かった状態になり、この差額の1円を、消費税として国に納付することになります。
これが、預かった消費税と支払った消費税の差を納付するということですね。
消費税の輸出免税の仕組み
輸出免税の説明から、だいぶ、離れましたが、ここから輸出免税について、説明していきましょう。
輸出免税って、消費税がかからないんですよね?
最初に申しあげたとおり、かからないのではなく、かかるのですが、免除するということです。別名、0%で課税するといわれています。
0%課税ですか?0%かかるということですか?
そうです。例えば、上の例で、100円の商品を売る相手先が、国外にある会社である場合、100円のものを輸出取引するとします。この場合、結論からいうと、100円で消費税は0円(0%)で輸出が可能です。
この場合、納付する消費税は、いくらになるのですか?
90円の商品を99円で国内で仕入れて、それを海外にある会社に100円で輸出(売却)することになります。売却益は、税込経理の場合、100円と99円の差、1円になります。消費税は、どうなると思いますか?
消費税は、預かった消費税と支払った消費税の差額を納付するんですよね。この場合は、国内で99円で仕入れているから、9円の消費税を支払っていますよね。
そうです。この場合、売り上げに係る消費税は、どうでしょうか?
100円で海外の会社に売っていますよね。消費税は、免除されて0円ですよね。
この商品は、日本国内で99円で仕入れているから、9円の消費税を日本で支払っていますよね。
そうです。そうすると消費税はどうなりますか?
預かった消費税0円と支払った消費税9円との差額、マイナス9円になります。マイナスってどういう意味ですか?
プラスの場合、納付、マイナスになる場合は、還付になります。この場合9円の還付になります。
えっ?消費税が戻ってくるのですか?
輸出免税の事業者にとっての効果
国内で仕入れた商品を海外に輸出する場合、国内で支払った輸出商品に係る仕入れ商品の消費税相当額が還付される(要件や限度などがある)というのが、輸出免税の効果といえると思います。
それで、日本にいる外国人の方が日本から、その外国人の本国に日本の商品を輸出するというビジネスが成り立つのですね。
そうですね。消費税の税率が大きくなればなるほど、還付額が増えるという仕組みですね。ただ、物の価格とは、均衡していくもののようで、税率があがっても、必ずしも、利益があがるということにはならないようです。今日は、このくらいで、またお話させていただければと思います。
今日は、ありがとうござました。
まとめ
- 消費税の輸出免税とは、日本の国外に商品を輸出する場合には、消費税は0%で、免税になる
- 日本国内で、商品を仕入れて、日本国外にその商品を輸出する場合、要件等を満たせば、日本でその商品仕入れにかかる消費税の還付申告を申請できる