PEなければ課税なしの意味は?
「恒久的施設(Permanent Establishment, PE)がなければ課税なし」という国際税務の原則的な考え方のことです。これは、ある国が外国企業に対して課税を行う際に、その外国企業がその国において恒久的な事業拠点を持っている場合にのみ、課税を行うという考え方です。つまり、恒久的施設を有しない場合には、課税は行われないということになります。
ただし、注意しなければならないのは、これは事業に係る所得について課税されないということです。それ以外の税金については、課税される場合もあります。
下記、OECDモデル租税条約の主な内容(財務省ホームページより引用)にもあるように、国内に恒久的施設を有しない場合には、事業利得については、課税されないという考え方となっています。
OECDモデル租税条約の主な内容
課税関係の安定(法的安定性の確保)・二重課税の除去
源泉地国(所得が生ずる国)において課税することができる範囲の確定
- 事業利得に対しては、源泉地国に所在する支店等(恒久的施設)の活動により得た利得のみに課税
- 投資所得(配当、利子、使用料)に対しては、源泉地国での税率の上限(免税を含む)を設定
居住地国における二重課税の除去方法
- 国外所得免除方式又は外国税額控除方式
出典 財務省ホームページ 租税条約の概要より引用
注意すべき点
「PEなければ課税なし」とは、上記のとおり、事業所得について述べているものです。
つまり、PEを有しない外国法人でも、消費税が課されることはあります。
また、一般的にPEについては、租税条約で定めがあり、その範囲については、各国で異なる場合がある。そのため、租税条約を確認する必要がある。租税条約を締結していない国については、当該国の国内法等の確認が必要である。
日本の消費税法の規定
消費税法
第四条 国内において事業者が行つた資産の譲渡等及び特定仕入れには、この法律により、消費税を課する。
2保税地域から引き取られる外国貨物には、この法律により、消費税を課する。
第二条四 事業者 個人事業者及び法人をいう。
消費税法の規定では、事業者が国内において行った資産の譲渡、貸付け及び役務の提供については、消費税を課すると定められている。また、事業者とは、個人事業者及び法人と定義されており、特に外国法人や非居住者とは、区別されていない。そのため、PEのない外国法人であっても、消費税法の規定は適用され、消費税が課税される場合がある。
租税条約との関係
一般的に租税条約の対象となる税目は、所得税、法人税、住民税等であり、消費税は対象となっていない。すなわち、日本の消費税法が、適用される。
まとめ
- PEなければ課税なしとは、事業所得について、課税されないということである
- PEの範囲については、租税条約等で、確認する必要がある
- PEがなくても、消費税は、課税される場合がある